「非ケインズ効果」

 ▼…自公保連立政権の安定多数、民主党の躍進となった総選挙だが、640兆円に上る財政赤字問題にどう対応していくのか、各党ともなお明確な道筋を示してはくれなかった。

 ▼…天文学的数字で庶民には実感がないが、インターネットのホームページ上で動く「日本経済が破綻するまで動き続けるリアルタイム財政赤字カウンター」をながめていると、どうにも落ち着かなくなってくる。1秒刻みに「借金」が230万円ずつ増えていく。概数とは言え、文字通りリアルだ。

 ▼…経済学者の試算では、無策のまま進行すると2010年にはGDP(国内総生産)の1・7倍を超えるという。全国民が1年間に生産したものを一切消費せずにがまんしても、まだ借金の山が消えない、ちょうど戦時中と同じ財政状況に置かれていることになる。

 ▼…政府は当面公共投資重点の景気対策を続けそうだが、個人消費復調の気配はまだ見えない。むしろ国民の財布のひもは固くなっているようにも見える。もしかしたら、政府の非効率な歳出が、やがてツケとなって返ってくることを懸念しての「防衛行動」かも知れない。とすると、財政支出よりも財政再建の方が、景気にプラスに作用するとも考えられないか。

(10.Jul.2000 梶田博昭)