ブッシュに飲ませたい「爪の垢」

 ▼…京都から車で小1時間ほど走ると、八木町という人口1万人弱の町がある。のどかな田園風景の中でひときわ目に付くのが、中学校の屋根に光り輝く集光パネル。「自然と共生する未来型クリーンエネルギーのまち」と聞き、納得した。太陽光に次いで、家畜し尿から発生するメタンガス発電にも力を注いでいるというから徹底している。

  ▼…堆肥化の過程で出る「余り物」が、1日最大2400kwの電力に変わり、この4月からは関西電力に売電するという。メタンガスは温室効果ガスだから、地球温暖化防止の京都議定書を近郊農村が率先垂範していることになる。議定書を反故にしようとしている米国に、八木の爪の垢を飲ませたいものだ。

 ▼…メタンを活用したバイオガスプラントの実用化はEU諸国が積極的で、農業地帯の環境汚染対策とエネルギー政策の観点から、補助制度やガス発電の買い上げ義務化も行われている。スウェーデンでは、自動車燃料として使用する研究さえ進められているそうだ。

  ▼…酪農王国の北海道でも、湧別町などで実験プラントが動き出している。農家にとってもメリットは大きいのだが、メタン発酵後に残った廃液を戻す畑がない。堆肥すら還元できる農地がない、という問題が残されている。これは、家畜飼料の大半を輸入に頼っていることに起因している。最新技術を持ってしても行き詰まる大地の「循環」の重みを改めて考えさせられる。   

(16.Apr.2001 梶田博昭