駅前大学はシンクタンク

 ▼…群馬県の東端にある板倉町は人口約1万6千人、日本一のキュウリ産地として知られる。小さな町のもう一つの自慢は、燃えるゴミを固形燃料に変え、生ゴミから堆肥を作り出すリサイクルセンターだ。事業費約25億円を投じた施設だが、堆肥は町民に無料還元され、地場産業の振興にも役立てられている。

  ▼…農家の後継者難が続く一方で、ニュータウンが張り付き、97年には東洋大学のキャンパスが開設された。田園の産業・文化・風土を生かしながら、東京のベッドタウンと学園都市としての機能をどうビルトインするか。板倉町は2002年度からスタートする第4次総合計画づくりに知恵を絞った。

  ▼…針ヶ谷照夫町長が着目したのは、国際地域学部を抱える大学の研究機能だった。要請に対して東洋大の教授ら21人が「地域政策研究会」を組織し、都市基盤、福祉、行財政など6部門の専門委に分かれて、計画づくりに全面協力することになった。一方では、公募の町民ら94人が参加した「まちづくり推進会議」も動き出した。

  ▼…地域モデルの作成やワークショップには学生がゼミナールごと参加するなど、まちが研究活動のフィールドとしても活用される。大学の知恵が地域に還元され、地域が壮大な実験場となる。板倉町民に、新住民と学生が加わって、どんなまちへと変化していくのか、今から楽しみにしたい。

(7.May,2001 梶田博昭