雀卓と究極の記者クラブ

 ▼…札幌の旧法務合同庁舎の隅っこに司法記者クラブがあった。土曜の午後は停戦タイム、記者たちの「親睦の場」となった。廃棄寸前にもらい受けた円卓に四角いマットを広げてのゲームだから、「ポン」「チー」をする度に牌が床に転げ落ちた。全国でも希な「役所から便宜供与を受けない記者クラブ」は、事務の女性もクラブが雇っていた。

  ▼…長野県庁の「記者クラブ管理経費等の仮算定書」なる物を見る。室料、光熱費、駐車場使用料、人件費、NHK受信料などで年間ざっと1500万円。田中康夫知事は「脱・記者クラブ宣言」の中で「排他的権益集団と化す」懸念を、その理由の一つに挙げたが、行政コストの面からも評価が必要だろう。

  ▼…クラブを「全ての表現者に開かれたプレスセンター」とする考えには賛成だ。できれば情報のプロである記者と、情報を求める市民との交流の場、さらには批判、告発、政策提言も含めフォーラム的な機能も持った「行政に関する情報のアクセスポイント」とならないものだろうか。

  ▼…「知る権利」と「報道の自由」の同じ線分上に「情報公開」と「アカウンタビリティ」がある。確かに公開制度が設けられ、インターネットでの情報発信も盛んだが、さらに延長線上にある「参加」と「協働」にはなかなかたどり着けない現実もある。田中知事の「次の一手」を期待しつつ、公権力による情報操作も少し気になる。

 (28.May,2001 梶田博昭)