続・満開の桜の下のお登勢

 ▼…NHKで放映中の時代劇「お登勢」人気にあやかり「まちおこしを」と淡路島・洲本市の住民らが「お登勢の町すもと会」を結成した。歴史探訪のイベントなどで盛り上がっている。お隣の五色町はかつて「高田屋嘉兵衛のまち」で全国に名を売った。歴史は地域のアイデンティティでもあり、子どもたちのふるさと見直しにもつながる。

  ▼…「お登勢」を巻き込んだ稲田家の騒動は、維新を背景にした徳島藩からの分藩独立が核心となっている。独立の代償は、色丹島と静内への北海道移住。開拓の費用として徳島藩から1万石余を向こう10年間拠出させる、との朝廷案が稲田・徳島の対立を一層あおる結果となった。

  ▼…この話、どこか最近の都市と地方の対立・公共事業見直し論と通じるところがある。藩にすれば「なぜ、徳島で集めた税金を北海道に持って行かれるんだ」と文句も言いたくなろう。「10年で自立など無理だろう」という声もあったとか。100余年経てなお自律を模索する北海道にとって耳が痛い。

  ▼…開拓期の様子は小説「続・お登勢」に譲るとして、殖産興業の花開いた地域には、多くの人が集まってきた。しかし、石炭、造船、鉄鋼、北洋漁業は衰退し、今や農業さえも揺らいでいる。「地域間競争」に吹き飛ばされる前に、北海道自らが「骨太の政策」が求められている。「土着の実」と「自立の産」を目指した稲田魂をならいたい。 

(11.Jun,2001 梶田博昭)