「よこすか・川ストーリー」

 ▼…小泉首相のふるさと・横須賀市の北部を流れる鷹取川。団地や商店街をぬうようにして東京湾に注ぐ。河口ではかつてカキも採れたが、いつの間にか汚れた川に。都市周辺にはよくある「川物語」だが、「身近な川だからこそ守りたい」と住民が動き出したのが、3年前だった。

 ▼…川を知ることからスタートし、地元・追浜(おっぱま)の小中学生が大活躍した。タイヤや冷蔵庫が捨てられている一方で、ハゼやサギなど予想外に多くの生物が棲息しているいることも分かった。養殖や製塩が行われていたことも、お年寄りから聞き出し、子どもたちの新発見・再発見が、大人たちも動かした。

 ▼…「市民協働型まちづくり」を進める市のモデル事業として鷹取川再生の行動プランを策定することになったが、壁にもぶつかった。自治会、商店会などいわば地縁でつながった団体と水環境保全をテーマとする団体が混在し、ときに活動方法をめぐって意見がぶつかり合った。

 ▼…両者の確執を解き「ゆめプラン」を前進させたのは、ワークショップの開催と広報の徹底だった。「何をすべきか」にこだわらず、水質改善という「本当の利益」を共有し「そのために何が出来るか」に絞り込んだ議論が進められた。明確な目標の共有によって、まちづくりの主役が誰なのかも見えてきた。

 (21.Jan,2002 梶田博昭)