アナログはアナクロか

 ▼…英国・ビッグベンの大時計がデジタル化される、というのが新聞のエイプリルフール・ネタの代表作だそうだ。その4月1日に起きたみずほシステムの大クラッシュは、くっ付き合いメガバンクの馬鹿さ加減を世界に露呈した。月末30日に第2のクライシスが控えていると聞けば、これはもうブラックジョークだ。

 ▼…金融庁に差し出した中間報告書は、単なる経過報告に終始していたという(さすがに突き返された)。根本原因や改善計画を明確にできないままドタバタを続ける様は、不良債権問題をめぐる動きと同様で、銀行という存在そのものの内側に根深い病根があると考えざるを得ない。

 ▼…騒動の背景としてトップの「IT音痴」がささやかれている。銀行同様に台所の不安を抱えつつ、合併とIT化に取り組むだけに、市町村の方は大丈夫かと案じてしまう。最近の調査では、IT化の障害として2年前に36%あった「首長・幹部の無理解」が5%まで急減したというから、この面で死角はないと思うが。

 ▼…問題は、言語の違うプログラミングを強引につなぎ合わせたり、中枢に機能不全が起きたりしてはいないか。何より、お客様第一の合併統合なのか。アナログはアナクロに非ず。ビッグベンがどう時を刻むのがふさわしいか、ロンドンっ子は知っているからジョークになる。

(22.Apr,2002 梶田博昭)