「後から効く」のが特級酒

 ▼…「村を町と改称し、以て人心を振興し本村将来の使命及之に処する覚悟を徹底せしめ、永遠の発達を要望すること切なり」。大正12年、北海道庁長官に対し2級町村制下の静内村長が宛てた、1級町村昇格の嘆願書の一節である。完全に独立した自治体への住民の願いが込められている。

 ▼…2級町村下での役場吏員は、長官が任命した村長以下数名。歳出の大半が、役場費と村医費で占められていたことからも、村の役割がごく限定されていたことが想像できるだろう。そんな町村の行政機能をごく一部に限定した「2級町村制復活論」が、最近の合併論議の中で時折顔をのぞかせることがある。

 ▼…合併支援策が並ぶ一方で、合併の流れに乗り遅れたり、「NO」と言ったり、したくてもできない市町村にとって、確かに、生き残りの道は険しい。「合併が無理なら、防災と衛生の一部を20人ほどの職員でやってはどうか」。そんなことを国が言い出しかねない雰囲気も感じられる。

 ▼…合併論議の落とし穴に気付いた福島、岩手両県は「合併しないマチ」に対する支援策の検討に乗り出した。コミュニティを埋没させるのではなく、生かしながら機能を分担・連携する 工夫もあるはずだ。国が言い出す前に、地方からの逆提案があってもいい。2級候補を多く抱える道庁に、何か知恵はないのか。

(13.May,2002 梶田博昭)