村の神輿を担ぐのは誰だ

 ▼…ある町長さんとの雑談で「善政競争」の話から「住民自治番付ってのはどうか」という話になった。そこで、東西横綱の有望候補として意見が一致したのが、岩手県藤沢町と広島県高宮町。両者共通のキーワードは「災害と相互扶助」「町内会」「地域内分権」、キーマンは「(元気な)年寄り・女性」「(地域番)役場職員」。

 ▼…高宮町は来春の合併で「安芸高田市」となるが、合流する周辺5町では今、高宮方式による自治組織づくりが進められている。20年の実績を持ち、スーパーの経営まで手がける「地域振興会」を、新市政における協働のパートナーとして位置付けていこうという発想だ。

 ▼…そのモデル的存在の高宮町川根地区は、600人の住民の半数以上が65歳以上の高齢者だが、「日本一元気な町内会」を自認する。祭を企画し、廃校を利用した宿泊研修施設を運営し、必要なら道路も作ってしまう。「若い者がおらんなら、みこしをわしらが担げばええんじゃ。みんなが汗を流せば、できるんじゃ」。

 ▼…廃校利用も「学校の灯が消えるなら、新しい文化の灯を灯せばええ」と考えるところから出発したという。そんな会長の話で、「特認休暇」の役場職員の手で祭りをようやく維持している町のことを思い起こした。確かに今、地方は、みこしの「担ぎ手」こそが問われている。

(6.Oct,2003 梶田博昭)