行政評価・入門編

 8-2.政策目標からアウトカムを読む

【評価指標の具体例】

 住民満足度の向上に重点を置いた成果主義に基づく行政評価を導入する上で、重要な点は二つ。・行政活動をきちんと体系化させる・「インプット」「アウトプット」以上に「アウトカム」を重視する―ことです。特に、行政評価の指標の選定に当たっては、施策・政策目標との関連を踏まえながら、より実態を具体的に示す「アウトカム指標」を設定することが必要となります。

 広報紙発行事業の例で言えば、普及率(住民の元に届いているか)、読書率(どの程度目を通しているか)、充足度(必要な情報が含まれているか)、活用度(情報が生かされているか)といった指標に加えて、住民の声・動きが反映されているかどうかの「反映率」や、アカウンタビリティ(行政の説明責任)の機能を果たしているかどうかの「公開度」などがより重要な指標になってくるでしょう。

 予算規模、投入職員数などの「インプット指標」や、配布数、配布頻度、ページ数などの「アウトプット指標」が比較的データとしては把握しやすいのに比べて、「アウトカム指標」はとらえにくい傾向があります。こうしたことが成果重視の行政評価がなかなか浸透しない背景にあるようです。

 指標の選定についてはこの後改めて取り上げますが、上に老人福祉政策のうち、ショートステイ事業・ヘルパー業務についての評価指標を例示しましたので参考にして下さい。

 アウトカム指標の右に「達成度・貢献度」「相対評価」の項目も上げています。行政活動のピラミッド構造に従って、個々の事業、施策が上位の施策、政策の目標実現にどの程度貢献しているか、という視点も必要だからです。また、時間の流れの中での「達成度」や同規模の他自治体との比較対照も、行政評価を行う上では重要になってきます。