特集 2001年 地域はどう変わる

2001/02/02

5. 公共事業

社会資本整備の新システム確立

 日本のGDP(国内総生産)に占める公共投資の比率は、グラフにあるように欧米諸国と較べて極めて高くなっています。公共投資による経済波及効果を重視する結果、政策がハード面に偏っているのが特徴といえます。こうした体質が、「大きな政府」を一層膨張させ、税収が不足すると国債を発行してさらに公共投資を拡大させる財政構造をもたらしているのが実情です。

■年10%削減でも追いつかない

  結果として、政府の借金が大きく膨らんでしまいました。昨年の総選挙後、公共事業の抜本的見直しが叫ばれたものの、実際には既に事実上休止状態にあった事業の中止など小手先の対応策にとどまっています。その一方で、地方交付税の配分や公共事業の農林水産事業への傾斜などを背景に、「都市対郡部」という対立の構図も表面化してきています。

  今後、借金の膨張を食い止めようとするならば、向こう5年間にわたって公共事業を毎年10%程度ずつ減少させていかないと、追いつかない計算になります。仮に高水準の公共投資を続け、企業の経営改革も進まない場合は、2006年度以降に破綻するとの、見方さえあります。

■最小投資で最大効果目指す

  こうした流れの中で、地方自治体はこれまで以上に、最小投資で最大効果をもたらす行政目標を徹底追求することが課題となります。特に、公共投資に対する依存度の高い北海道では、新しい形の社会資本整備のシステムづくりを急ぐ必要があります。

  たとえば、行政の役割の範囲を絞り込みながら、社会資本の整備に民間の参加を積極的に進めることも重要なテーマになってくるでしょう。住民サービスを企業やNPO、個人など多様なセクターで機能分担するといった、新しい手法の活用も求められています。

  ここで重要なことは、国民=住民にとって何が必要で何が必要でないのか、支払った税と受け取るサービスの対価を鮮明にすることです。そのためには、情報の公開と事業・政策の評価のシステム確立、それに税源の地方移譲と実効性のある規制緩和などの、根本的な構造改革が前提となるでしょう。

 

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