212の21世紀〜マチは変われるか

第3部・情報編

 7.メディア
 明確な情報戦略が必要/広報・広聴の重要性増す



 「地域情報サイクル」との対比で現状の問題点を見てみましょう。
 まず行政情報を発信する段階では、一番に問題なのは行政そのものが体系化されていないため、情報も整理・分類されていないことが挙げられます。

 これは情報公開条例を制定する際にも多くの自治体で表面化しており、整理・分類が十分でないまま公開に踏み切り、「どこに求める情報があるのか分からない」「公開申請から実際に公開されるまでに時間がかかる」といった形で問題化しています。中には、公開条例と合わせて行政の体系を再整理したという自治体もありました。

 実は、この問題は非常に根深く、従来の延長線上で行政を考えるのならともかく、情報公開や行政評価を含めて行財政改革を進めようとするときには必ず直面する壁なのです。そういう意味では、「地方主権時代」というのは、行政の根本をもう一度見直す取り組みともいえるわけです。

 ■脆弱な広報広聴態勢

 第二に問題となるのが、情報発信そのものを扱う「広報」の機能が総じて弱いことです。特に、教員を除いた職員が百人に満たない町村の場合は、ほかの業務と広報業務をかけ持ちのケースが多かったり、組織だっていないなど態勢上の問題が大きいようです。

 また、メディア(媒体)は月一回の広報誌が主で、伝えたいときに伝えられないと言うタイムラグの問題もあります。カラー写真を使ったりと「見栄え」の改善はある程度進んでも、質的な充実とか発行頻度はコストの問題とも絡んできます。

 双方向性・速報性という面ではインターネットは有力な情報媒体なのですが、パソコンの普及状況からも住民全体をカバーできるまでには至っていません。この結果、多くの自治体サイトはまちの外へ向けた観光情報などの発信に力点が置かれています。

 最近、東京市町村自治調査会がまとめたアンケート結果でも、「自治体ホームページはほとんど利用したことがない」と回答した人が全体の約六割に達しました。「市民同士が交流するための工夫がない」「必要な情報が載っていない」といった指摘もあったそうです。

 ■自治体間で意識格差

 一方、住民情報の受信は、「広聴活動」と呼ばれますが、広聴と広報は表裏一体の関係にありますから、広報が十分機能していない以上広聴活動も大きな成果が期待できません。審議会やモニター、住民意向調査などの制度はあっても、「参加の梯子」に照らすと、総じて低い位置にとどまっています。

 住民参加型の行政を進めるためには広報・広聴が重要なことを知っている自治体とそうでない自治体との差は、人員配置やシステムづくりなどに良く表れています。しかし、住民参加を柱とした「地方主権時代」に対応していくためには、地域情報戦略を組み立てることが重要だと思います。そのためには、次のような課題があります。

 (1)まちづくり・行政の中で、地域情報戦略を明確に位置づける
 (2)行政を体系化し評価システムと連動させる
 (3)広報・広聴の強化から地域情報サイクルの確立へと進む
 (4)職員の意識改革とスキルアップ、ハード面の整備を進める
 (5)情報の広域化・広域行政への対応を考慮する