市町村合併を考える1-2

2000/10/20

 

合併に特殊事情抱える北海道

 財政難が市町村合併の大きな誘因となっているのは確かです。国と地方合わせた借入金の残高は2000年3月末時点で約600兆円にも上り、借金を解消しながら住民サービスの高度化を図るには、どうしても行財政の効率化が必要となってきます。この1、2年は、人件費など経常経費の切り詰めを中心とした「リストラ行政」が大きな流れとなっていますが、これにも限界があるからです。

 では、合併による財政効果はどの程度あるものなのでしょうか。64年に勝田市(当時11万5千人)と那珂湊市(同3万2700人)が合併してできた茨城県ひたちなか市についてみると、税収は横這いであるにもかかわらず、民生費や労働費、農林水産業費、教育費などが15〜30%余りの伸びを見せています。

■総務費10億円19%を削減

 これは、総務費や議会費などの経常的な経費が大幅に削減されたためです。98年度と93年度の普通会計決算では総務費が10億円(約19%)余り圧縮されていますが、単独自治体のリストラ行政ではとても実現不可能な数字です。合併が住民サービスの向上に一定の成果を上げていることをうかがわせています。

 このことからも、財政基盤の弱い自治体ほど、合併は有望な選択肢のようにも見えます。しかし、合併が常にスケールメリットにつながるかというと、そうとも限りません。

 北海道は全国の中でも、市町村合併に覚めた地域なのですが、スケールメリットがなかなか生かしにくい条件下にあることも、その要因かも知れません。特に、1自治体当たりの平均面積が、全国(約117平方キロメートル)の3倍以上もあることが、メリットを薄めるのではないかと、指摘されています。

■日高に国内最大の都市誕生

 たとえば、道が9月にまとめた合併推進要綱の中で、市制移行型の一つに挙げられた日高管内の門別、新冠、静内の合併パターンは、総面積が1816平方キロメートルで香川県に匹敵する日本最大の都市となります。もちろん、可住面積や交通環境も加味して検討すべきですが、ひたちなか市などと同列に考えるわけにはいかないでしょう。

 上のグラフは、市町村の面積規模ごとに全国と北海道の自治体数の割合を比較したものですが、全国では100平方キロメートル未満の自治体が63%占めているのに対し、北海道では300平方キロメートル以上がほぼ半数を占めているのです。

 「スケール逆メリット」という状況下で、近隣自治体がどう連携すれば、住民のためになるのか。北海道の自治体は、全国とはやや異なる対応が求められています。

 

 

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