続・市町村合併を考える6-1

「合併NO」を宣言〜矢祭町の場合(1)

2001/12/03

 

 国の「強制合併」に強い拒否感

 福島県南端の栃木県境に位置する矢祭(やまつり)町の町議会は10月31日、「市町村合併をしない矢祭町宣言」を18議員全員の賛成で決議しました。合併協議会の設置や参加の拒否といった動きはありますが、市町村議会が「合併ノー」を宣言するのは、初めてのケースで、国の合併推進策に疑問を抱く自治体などに波紋を広げています。

 宣言では、前文で「平成の大合併を進めようとしている国の目的は、小規模自治体をなくし、国家財政で大きな比重を占める交付金・補助金を削減し、国の財政再建に役立てようとする意図が明確。市町村は戦後半世紀を経て、地域に根ざした基礎的な地方自治体として成熟し、自らの進路の決定は自己責任のもと意思決定をする能力を十分に持っている。地方自治の本旨に基づき、矢祭町議会は国が押しつける市町村合併には賛意できない」としています。下の6項目宣言にもあるように、「国の強制合併」と「大領土主義」に強い拒否の姿勢を示しているのが特徴です。

 福島県内の合併に向けた動きは他府県に比べてさほど活発とはいえませんが、近隣の西白河郡7町村と白河市の合併を目指す署名活動が青年会議所などによって進められ、東部の浪江町は町総合審議会の答申に基づき5町村による新市誕生へ動き出しました。全国的にも特例法の期限をにらんだ研究活動などが活発化する中で、「合併ノー」の旗幟を鮮明にしようという考えが、矢祭町議会で高まったといえます。

 現在5期目を務める根本良一町長が元々合併反対の立場を明確にしていたこともあり、一気に宣言に突き進んだ格好です。総務委員長の立花利夫議員の提案に基づき、賛成討論に立った8議員は、「合併は、国による無駄遣いのツケを地方に回そうとするものだ」「合併で問題は解決しない、地方自治体への税源移譲や規制緩和こそ進めるべきだ」などと主張しました。

 決議の直後、総務省の合併推進室長が役場を訪ね合併のメリットを説明し増しましたが、町長、議員らは「ノー」の姿勢を改めて示しました。

 【市町村合併をしない矢祭町宣言】(前文略)

  1. 矢祭町は今日まで「合併」を前提とした町づくりはしてきておらず、独立独歩「自立できる町づくり」を推進する。
  2.  矢祭町は規模の拡大は望まず、大領土主義は決して町民の幸福にはつながらず、現状をもって維持し、木目細かな行政を推進する。
  3. 矢祭町は地理的にも辺境にあり、合併のもたらすマイナス点である地域間格差をもろに受け、過疎化が更に進むことは間違いなく、そのような事態は避けねばならない。
  4. 矢祭町における「昭和の大合併」騒動は、血の雨が降り、お互いが離反し、40年過ぎた今日でも、その痼は解決しておらず、二度とその轍を踏んではならない。
  5. 矢祭町は地域ではぐくんできた独自の歴史・文化・伝統を守り、21 世紀に残れる町づくりを推進する。
  6. 矢祭町は、常に爪に火をともす思いで行財政の効率化に努力してきたが、更に自主財源の確保は勿論のこと、地方交付税についても、憲法で保障された地方自治の発展のための財源保障制度であり、その堅持に努める。
 

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