まちづくり条例・市民参加条例
大阪府・箕面市

 ■地方のルールは地方で決める

 住民にとってまちの条例というのはあまりなじみがないのが実態でしょう。現に地方自治体が定める条例は、どちらかというと行政を進めるための決め事に関するものが多く、特に積極的にまちづくりを進めるための条例はあまり見受けません。

 しかし、地方自治体の条例制定権は憲法で保障された重要な権利です。地方のルールは地方で決める、ということは、地方自治の精神から考えてみれば当たり前のことなのです。分権の流れも手伝って、最近は情報公開条例や外形標準課税に関する条例制定が注目されています。

 「まちづくり条例」という表現は、景観や街並み保全などを目的に制定された時期がありましたが、最近では、住民参加によってまちづくりを進めるという視点からの条例が増えつつあります。そういう意味では「市民参加条例」と呼ぶ方が、ふさわしいかも知れません。

 表は、大阪府箕面市の市民参加条例の抜粋ですが、市民参加の基本理念を明示し、住民意思を表明する手段として住民投票という制度を明文化しているのが特徴です。道内では、石狩市やニセコ町が、主体的にまちづくりに参加できる仕組みを制度化した「市民参加推進条例」「まちづくり基本条例」の制定作業を進めています。

 住民本位のまちづくりを目指すに従って、今後は、さらに条例が大きな意味を持ってきます。まちづくりの方向付けについてコンセンサスをどう形成するか、住民投票をどう性格づけるかといった問題や、理念を具体化させるためのさまざまな仕組みづくり・環境整備が課題になってくると思われます。

【箕面市民参加条例】

 第一条(目的) この条例は、まちづくりにおける市民参加の基本的な事項を定めることにより、市と市民が協働し地域社会の発展を図ることを目的とする。
 第二条(定義) この条例において「市民参加」とは、市の意志形成過程の段階から市民の意思が反映されること及び市が実施する段階で市と市民が協働することをいう。
 2 この条例において「協働」とは、市と市民がそれぞれに果たすべき責任と役割を自覚し、相互に補完し、協力することをいう。
 第三条(市民参加の推進に関する基本理念) 市民参加の推進は、市民の持つ豊かな社会経験と創造的な活動を通して、市と市民が協働して市民福祉の向上と将来のより良いまちづくりの実現を図ることを基本理念として行われるものとする。
 2 市民参加は、地方自治の本旨に基づき適正に運営されなければならない。
 第四条(市長の責務) 市長は、市民自らがまちづくりについて考え行動することができるよう市民参加の機会の提供に努めるとともに市民参加を円滑に推進するための行政情報の公開に努めなければならない。
 第五条(市民の責務) 市民は、市民参加による、まちづくりの推進について、自らの責任と役割を自覚し、積極的な参加に努めるものとする。
 第六条(会議公開の原則) 市の執行機関に置く附属機関の会議は、規則で定める場合を除き、公開するよう努めなければならない。
 第七条(委員の市民公募) 市の執行機関は、市民の資格において附属機関の委員を任命しようとする場合は、その全部又は一部の委員を公募により選考するよう努めなければならない。
  2 前項の公募の方法については、別に定める。
 第八条(市民投票の実施) 市長は、市民の意思を直接問う必要があると認めるときは、市民投票を実施することができる。
 2 前項の市民投票の実施に関し、投票に付すべき事項、投票の期日、投票資格者、投票の方法、投票結果の公表その他必要な手続きについては、別に条例で定める。
 第九条 附則 (略)