ワンポイント・レポート


三重県菰野市・循環型社会環境条例

2001/02/02

  

地域ぐるみ「リサイクルの輪」実現

 「菰野(こもの)町廃棄物の減量推進及び適正処理並びに環境保全に関する条例」は、豊かな山里の自然や文化、生活環境を守ろうと、議員提案によって制定されました。資源循環型社会の実現に向けて、廃棄物の少ない品物を使うことを心がけたり、ごみを資源として分別、再利用するといった生活習慣や、企業の基本スタンスを「菰野スタンダード」として定着させようとしている点に最大の特徴があります。

 ■完全分別が住民の生活習慣

  ごみを細かに分別することは、一般に住民にとってはやっかいなこととされていますが、菰野の住民には、ごく当たり前のこととして、広く浸透しています。97年からから空缶(スチール、アルミ)、空びん(透明、茶色、その他)の5種類を、翌98年からはペットボトルと乾電池、蛍光管を追加し、合計8種類の資源回収を行なっていますが、約2年間での回収量は、透明びん373トン、茶色びん289トン、その他びん116トン、ペットボトル42トン、乾電池30トン、蛍光管12トンに上り、これらは再び資源として利用されています。

 ■再生コストを大幅に抑制

  家庭からの排出段階で完全分別されるため、町リサイクルセンターの設備は最小限で済んでいます。一般には、広大な施設に破砕機やびんの色別自動選別機を導入し、設備投資や施設維持に莫大な資金が必要です。ところが、2000年4月にオープンした菰野町リサイクルセンターは、空缶プレス機とペットボトル減容機、車両計量機の備品類と建物を含め約8700万円の投資で済みました。
  Tシャツやカーペットなどの繊維類、飲料以外のボトルなどに再利用されるPETボトルを例に取ると、リサイクル工場での処理工程にコストがかさみ、結果として流通できなくなってしまうという問題が浮上していますが、菰野では「住民の常識」が循環の「輪」を成り立たせる原動力となっているのです。 

【菰野資源循環型社会を目指す環境条例の基本規定】

 ■町民の責務

(1) 町の施策に協力すること。 
(2) 資源物回収・古紙等の集団回収事業に参加し協力すること。 
(3)商品購入の際は、簡易な包装のものや再利用ができるものなど廃棄物が少なくなるものを選ぶこと。
(4)不用品の活用や再利用に努めること。

 ■事業者の責務

(1) 廃棄物を自らの責任において適正に処理すること。 
(2) 処理を委託する場合は、処理先で適正処理されているか確認すること。 
(3) 町の施策に協力すること。 
(4) 資源物に可能な限り分別し廃棄物を減らすこと。 
(5)物の製造、加工または販売に際しては、長期間使用可能な製品の開発、修理体制の確保、過剰包装の抑制をはかるとともに、再利用品・再生品を使うこと。

 ■町の責務

(1) 町の行う廃棄物処理事業で施設整備、作業改善をはかること。 
(2) 町民及び事業者の意識の啓発や指導または助言を行うこと。 
(3) 処理施策や施設の運営状況等の情報を町民に提供すること。 
(4) 町民の自主的な活動を支援すること。 
(5)廃棄物処理施設の設置運営にあたって、地域住民の意見を聴き等町民の参加を求め、施策に反映すること。

 

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