中高一貫の「共育」効果
 
 ▼…あなたが江戸幕府の将軍だとしたら、五街道に次ぐ6番目の街道をどこにつくりますか?地図上に示し、理由を50字以内で述べよ。ある進学塾が、都立中高一貫校を目指す小学生に出題した模擬試験の一問だそうだ。今、3候補が争う自民党総裁選が話題となっているが、一党・一国のリーダー選びにも使えそうな、なかなかの良問ではないか。
 
 ▼…高校入試の苦行から解放し、ゆとりと特色ある教育の実現を目的とした公立の中高一貫校が、全国で急増している。2000年に17校だったのが、5年間で10倍に。文科省は当面500校を目標に据えている。東京・九段、京都・洛北など名門高の名も並び、志願者殺到の背景には、進学校としてのレベルアップに対する期待もうかがえる。
 
 ▼…東大生の半数が私立の一貫校出身者と聞けば、「一流大学への金のかからない6年制予備校」の存在は確かに魅力的だ。東京都の場合、本来の目的に沿って選抜のための学力試験は行わない方針だが、現実に進学塾の動きを見ると、公立一貫校を「エリート養成校」と位置付けて難関突破のためのゼミナールを相次いで開講している。
 
 ▼…戦前の旧制中学も5年制ながら中高一貫に近い形だった。たまたま本の執筆でその実像の一端に触れて驚かされたのは、多様な個性を持った学生同士が互いに競い合い・教え合い、ぶつかり合い・むつみ合う中で、思いやりとたくましさを身に付け、それぞれの個性を磨いていったことだ。ときに混沌とした空間が「共育」の場であった。現代の教育にもそんな視点が欲しい。
(梶)
 
参考:旧制中学の教育について関心がありましたら、
「拓北人物夜話」の<Takatomo  Totsu>の記事を参照して下さい。
2006年9月8日金曜日
旧制北海中学の校内風景(昭和15年ころ・「百折不撓物語」より)