万馬券 産地の憂鬱

 ▼…中央競馬(JRA)クラシックレースの幕開けを告げる桜花賞で、ホッカイドウ競馬出身のアローキャリーが優勝した。地方競馬からは2頭目の快挙だという。13番人気の伏兵だったから、当たり馬券を手にしたファンとともに、道営競馬関係者や北海道静内町の生産者らも沸き返ったことだろう。

 ▼…その地方競馬が、存亡の危機に追い込まれている。全国24開催地の特別会計は、全て赤字決算(2000年度)。中津市営(大分県)が昨年廃止となり、益田市営(島根県)はこの2月に市の行財政改革審議会から「廃止勧告」を受けた。馬産王国・北海道もまた、土俵際に立たされている。

 ▼…少し乱暴な言い方をすると、地方は中央競馬の下請。優秀な馬材?とカネは中央に吸い上げられ、ファンも競馬サークルも目はそちらへ。産地そっちのけでは、「畜産振興」は空念仏。顧客主義、投資感覚に乏しい地方の官製競馬は、切り詰め・延命のリストラ策が関の山だろう。

 ▼…この構図、どこかで見たことない?横浜市の馬券税問題で国は畜産振興政策などを理由に反対したが、ならば産地競馬をより重視した「中央と地方」の改革が必要ではないか。フランチャイズ制など知恵はある。地方記者時代の81年、桜花賞馬ブロケードを産んだ静内の小さな牧場を思い起こしながら、考えた。

(8.Apr,2002 梶田博昭)