犬の首に税をかける話

 ▼…東京都の石原知事が大手金融機関を対象にした外形標準課税導入の方針を打ち出した。青島前知事が都市博の開催中止を決定したとき以上の騒動に発展した。公的資金(税金)をつぎ込んでもなお安穏としている銀行の実体を感じ取っているためか、都民の多くは知事に喝采を送っている。

 ▼…地方税法では都道府県や市町村が一定の範囲で独自に課税することが認められている。固定資産税などあらかじめ定められたものに対して、「法定外普通税」と呼ばれる。現実には軽井沢町が課税している「別荘等所有税」や原発立地自治体の「核燃料税」などごくわずかの例しかないが。

 ▼…かつて最も広く課税されていた法定外普通税としては「犬税」がある。昭和30年には全国で2,686の自治体が犬1頭につき300円前後の税金をかけていた。元は江戸時代の「犬銀」にまでさかのぼる、歴史のある税金なのだそうだ。

 ▼…さて「石原税」。政府自身が地方の課税自主権の拡大を唱えながら「日暮れて-」の観があった地方税制改革論議の尻に火を付けた点で評価したい。現在の税制が地方分権を進める上で大きなネックとなっているからだ。ついでながら、地方自治を「国の自治省」に考えてもらう時代は、そろそろおしまいにしたい。

(2.jun.2000 梶田博昭)