IT革命、パイプの中味は〜
▼…火山活動が続く伊豆諸島・三宅島から避難した島民をインターネットでつなごうという計画が進んでいる。民間企業などが中古のパソコンを提供し、島民同士が消息を連絡し合ったり、行政が将来の復興に向けた情報を流すのだという。 ▼…噴火が収まり一日も早く島に戻れることを願うが、もしも長引いたとしたら…。インターネット上に仮想の役場が開かれ、住民票の申請やら結婚、出生の届出も居ながらにしてできる。モニター上で先生が授業をし、運動会だって開けないことはない。奥さん同士の井戸端会議も。 ▼…ITを活用すれば、今すぐにでも「バーチャル・コミュニティ」は可能だ。仮想社会だから「境界」は存在しない。市町村合併など面倒なことをしなくとも、都合の良いまち同士、住民同士が共同体を作り上げることもできるだろう。そうして考えると、効率性を追求する市町村合併は、一種のバーチャル・コミュニティを目指すもののようにも見えてくる。 ▼…しかし、地べたの感触がない空間に、帰属意識など存在するのだろうか。現実の生活の拠点がコミュニティであるとすれば、自治体機能の統合とコミュニティの統合は区別して考えなければならないような気がする。それとも仮想現実の快適さから、島に戻らなくともいい、という島民が現れてくるのだろうか。 (22.Sep.2000 梶田博昭) |
|||