ごみステーションで考える「究極の選択」

 ▼…徳島県の上勝町では、この4月から家庭ごみを35種に分別収集することになった。可燃ごみだけで7分別、蛍光管は破損の有無で2分別といった具合で、おそらく国内最多。主婦らの手間は増し、ごみステーションでの混乱も予想されているが、ほとんどのごみがリサイクルに回されるという。

 ▼…「そこまでやらなくとも。行政や業者に任せれば」という声も根強い。しかし、厚生省によると全国の最終処分場が受け入れ可能な容量は、ここ数年で急速に減少し、あと1年半ほどの余力しかなくなっている。行き場のないごみが街角にあふれ返るとなると、「面倒」とばかりは言ってられない。

 ▼…同じ4月からは、家電リサイクル法が施行され、テレビや冷蔵庫を捨てるにも消費者が費用負担しなければならなくなる。循環型社会を目指して、時代は企業ばかりでなく、消費者に対しても環境に対する「応分の負担」を求めてきているのだ。

 ▼…三重県菰野町の住民は、「分別の手間」を「生活習慣」とすることで、ほかの町が億単位をかけたリサイクルセンターを8700万円で整備した。「手間」を取るか「税負担」か、の選択でもあった。米国では、「税金は高いがサービスのいい町」「税は安いが我慢も必要なまち」「税もサービスも最悪のまち」、どれを選ぶかは住民次第。日本でも、住民が転居先を選択する「足による投票」が現実味を帯びてきた。


(2.Feb,2001 梶田博昭)