「デミアン」が牙をむく日

 ▼…債券格付け会社が相次いで、日本国債を格下げしている。各社とも今後の見通しを「ネガティブ(弱含み)」と評価し、財政赤字問題に展望を開けない状況を厳しく見据えている。最上位から3番目の「AA2」と格付けした米国ムーディーズ社のアナリストは「長期的な視野を持った強力な政治力が必要だ」という。

 ▼…では、地方債の方はどうなのだろう。日本格付投資情報センター(R&I)は、北海道、札幌市とも第2位の「AA」で、総じて信用力は保持されている。地方債は、国の許可の下に発行され、仮に財政破綻しても総務省の管理下で債務不履行は回避されるのだから、上位にあるのもうなづける。

 ▼…しかし、地方分権の流れの中で地方債の発行は、2006年度から許可制が廃止となる。これは地方の自主性が高められる一方で、市町村そのものの信用力が問われることも意味している。財政力・信用力が低い自治体が借金しようとしても、金融機関が貸し渋るという事態もあり得るのだ。

 ▼…格付けも大きく変化し、財源確保の難易がそのまま自治体格差につながりかねない。アナリストの警句は、地方の市町村についても当てはまる。国と地方合わせた借金は666兆円。オカルト映画「オーメン」では3並びの「6」が恐怖の象徴として描かれている。5年後の地方を舞台に「デミアン」が牙をむくことがないことを願う。   

(9.Mar,2001 梶田博昭)