IT革命より教育革命?

 ▼…子ども一人ひとりの学習達成度に合わせた、きめの細かい指導を目指して、群馬県の小中学校でこの春から、1クラス20人程度の少人数授業が実施される。当面は小学校3、4年の算数と中学3年の数学などに限定しての措置で、増員配置は非常勤教師の派遣などでまかなうという。

 ▼…「分数のできない大学生」が話題となったが、日本学術会議が3月に開いたシンポジウムでは、基礎学力の低下は理科や数学だけでなく、全教科に広がりつつあることも報告された。2002年度からは義務教育の完全週休5日制がスタートすることになっており、授業についていけない子どもたちの「落ちこぼれ」拡大も懸念されている。

 ▼…旧文部省の進める「ゆとり教育」は、詰め込み教育の反省に立っているが、1クラス40人にもなる「詰め込み教室」も、学力低下や学級崩壊の原因になっているのではないか。15〜20人が標準的な米国並みの体制がとれれば、一人ひとりの潜在力を引き出すような教育が可能になるのではないだろうか。

 ▼…20人学級の実現のためには、教師を倍増させる必要がある。教員養成の態勢上の問題はあるものの、教育のための「公共投資」は決して無駄な事業ではなく、極めて大きな雇用の場の創出にもなる。豊かな社会経験を持った人材を幅広く教師に登用するならば、IT革命以上の雇用効果・経済効果を生み出すことも考えられる。

 (2.Apr,2001 梶田博昭)