TDL、USJ、PFI、そしてPF

 ▼…夏休みは、TDL(東京ディズニーランド)かUSJ(大阪・ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)か。人気は二分しているそうだ。純民営のTDLに対して今春オープンしたUSJは、大阪市など出資の第三セクターによる運営。第三セクターのテーマパークといえば、近ごろ経営難のオンパレードだが、USJはこれらとも少々肌合いが異なっている。

 ▼…総事業費の6割に当たる1250億円の融資は、プロジェクトファイナンス(PF)と呼ばれる方式で行われた。企業ではなく、事業そのものに対する融資。事業の将来性、事業からあがる将来の利益をあてにして融資が行われた。潰れたときの担保は、不動産ではなく、ノウハウや人材であり、銀行が事業を継承する。

 ▼…PFは、サッチャー政権下で社会資本の整備に活用され、英国の金融専門誌は毎年、優れた事例を「ディール・オブ・ザ・イヤー」として顕彰している。99年はUSJで、2000年は千葉県君津市など出資の第三セクターがPFI方式で進める廃棄物処理施設建設事業が受賞した。日本のPFI市場への期待もうかがえる。

 ▼…財政難を背景に自治体の間でもPFIに対する関心が高まっており、新たな資金調達の手法として積極的にPFが活用される時代は間近かのようだ。しかし、第三セクターと同様にPFもPFIも、決して「打ち出の小槌」ではない。「器」の不動産的価値ではなく、事業自体の収益性と計画性、つまりはプロジェクトの質そのものが問われている。 

(30.Jul,2001 梶田博昭)