合併に「NO」と言えるマチ ▼…「市町村合併には反対ですか?」。北海道のある町長さんに聞いてみた。「住民の声が届きにくくなり、きめ細かなサービスができなくなるナ」。「でも、財政はどうします?」「な〜に、ウチが潰れるときは、そこらじゅうが潰れてるサ」。なるほど、達観である。もしかしたら、多くの町長さんは、そう考えているのかも知れない。 ▼…マチの人口を職員の数で割り返すと、北海道の場合、札幌を除いた市は約105人で町村は約60人。確かに、小さなマチの役場職員ほど、背負っている住民の数は少なく、それだけ住民の声に耳を傾けることができそうだ。しかし、職員の実数では、680人対140人とかなり大きな開きがある。 ▼…地方自治の実務は、細かな法令に基づいて行われるから、職員は法律の専門家でなければならず、しかもその領域は幅広い分野にわたる。大都市も小村も基本的な行政事務は、そう変わりがない。したがって、仮に千の仕事があれば、市職員は1人で1つか2つほどこなせば足りるが、町村職員は7つから8つほど背負うことになる。 ▼…「広報環境衛生係」という肩書きの名刺を見ただけで、日ごろのご苦労が目に浮かぶ。しかし、合併して専門職員が増えても、広報から衛生のことまでワイドで、しかも住民の目線に近い視野は個々の職員にとって必要だろう。また、そんな職員がいるマチは、合併に「NO」と言うこともできるのではないか。 (21.Aug,2001 梶田博昭)
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