被災地コミュニティに学ぶ

 ▼…更地に張られたテントやコンテナハウスが、まちづくりの拠点となった。教会の敷地のテントは、ボール紙の柱で支えられ「ペーパードーム」と呼ばれた。拡幅された道路に街路樹を植えるかどうかで、論議が白熱する。「落ち葉の掃除が大変だ」。「ほうき片手の道ばた談義も悪くない」。プランナーを挟み、おかみさん同士が、やり合ったりもした。

  ▼…阪神・淡路大震災後の復興過程を市民の視点から検証してきた市民社会推進機構が、新たな社会づくりへのアクションプランをまとめた。震災後に地元住民やボランティアを中心に生まれた先駆的なコミュニティ活動を取り上げるとともに、市民自らが行動するきっかけとなる具体的な提言を発信している。

  ▼…行動計画は4分野62項目に上る。市民が公共サービスを担う「地域自前主義」が原点だ。「官が取り込んだ事業を市民に返還させよう」「地域の暮らしは総合体。役所の窓口もひとつに」「密室審議の扉を開けて議員の活動をチェックしよう」など地方分権、地方議会改革にも踏み込んだ内容となっている。

  ▼…阪神・淡路をどう復興するか、というテーマは、実は、日本をどう再建するか、私達が住むまちをどう立て直すか、という課題と重なり合っている。極限状況からの挑戦であるだけに、そこで提起されるものはずっしりと重い。30行コラムでは一端すらお伝えできないので、本書「市民社会をつくる」のご一読を(推進機構電話078-265-3511)。

(22.Oct,2001 梶田博昭)