「チャリンコで滅ぶ街、甦る街」

 ▼…池袋など駅前の放置自転車の数が全国一という豊島区が、JR東日本などに「撤去税」を課すことを検討している。いきなり新税の矛先を向けられた鉄道各社は猛反発しているが、撤去費用が年間12億円に上るというから、やむにやまれぬ苦肉の策として考え出したのだろう。

 ▼…99年の総務省の調査では、駅周辺の放置台数は年間約259万台。多くは持ち主に戻ったものの、行き場のない約90万台が廃棄処分にされた。単純計算では撤去に80億円もの税金が費やされ、資源が無駄に。しかし、捨てる神あれば、拾う神あり。杉並区の放置自転車100台は、東北の小さな町に引き取られた。

 ▼…人口1万人余りの秋田県二ツ井町は、再生した自転車を町内7か所の駐輪場に配置し、住民や観光客らがいつでもフリーに利用できるようにした。1台平均月に60km以上も走行し、共用自転車は住民の足として定着しつつある。将来は1千台を目標に、優先道路の整備や自転車観光ガイドの育成にも取り組んでいる。

 ▼…同様の試みが広がる一方で、大分市では60%の自転車が「行方不明」という現象も起こっている。自転車を単に便利な道具と見るのではなく、暮らしを取り巻く自然や社会を知り、環境や教育を考え、健康を実感するためのシンボルと見なせば、まちづくりにも生かせるのだが。

(28.Jan,2002 梶田博昭)