右手に備中、左手に缶ビール

 ▼…3月3日。出がけの札幌は、吹雪模様だったが、そこには桃ならぬ菜の花が明るく咲き群れていた。愛知県東部の稲荷神社で知られる豊川市。街の中央を流れる佐奈川の河川敷が、やがて黄色の絨毯で埋め尽くされる日も近いという。花の色と青い空を映した水の流れは、確かに「さらさら」と聞こえて来る。

 ▼…草ぼうぼうの河原を住民憩いの場にしようと動き出したのは、地元JCのメンバーだった。特製の備中鍬で耕し、最初の種まきには子どもを交え350人もの市民が参加した。秋にはコスモス、春には菜の花の鑑賞会が開かれ、自分たちの汗の結晶を実感するのが、恒例行事となった。

 ▼…「よい子は川に近付かない」と書かれた看板は外され、川は教育現場にもなった。「メダカの里親」が天然種を育て、教材として提供し、子どもたちが川に還す。水辺に近付くと、今度は水質はきれいだろうか、と考えた。刈草の堆肥化、竹炭づくりによる浄化プロジェクトも始まった。

 ▼…やがてNPO法人・佐奈川の会として体制を整え、県から河川管理の事業委託も受けた。ぎくしゃくした行政との関係は改善され、住民とNPOと行政の協働関係が築かれつつある。行政や企業では難しい分野にコミュニティ・ビジネスの可能性も見えてきた。この「花の種子」が全国に広がることを期待したい。

(4.Mar,2001 梶田博昭)