リストラあって、改革なし…

 ▼…丹後ちりめんの産地・岩滝町は、4月から職員給与の一律2%カット(特別職は2.5%)に踏み切る。ハコ物投資で借金がかさむ一方、地場産業の不振による税収減が続き、危機感を募らせたためだ。自治体の台所は、それまで聖域とされた人件費に手を着けざるを得ないところまで追い詰められている。

 ▼…新年度の都道府県予算案をみても、地方税収入は平均9.1%ダウン。総額1兆円以上の積立金取り崩しと、新たな借金で辻褄を合わせることになる。投資的経費の支出は10.1%の減だから、ひたすら首をすくめて台風一過を待つ構え。しかし、ちじこまるだけで、果たしていいのか。

 ▼…先日、山口県防府市の塩田公園を訪ねた。そこで聞いた話。長州藩の塩田開発は、藩政改革の一環として進められ、雄藩に成長する原動力となった。倹約の一方で、藩士自ら開墾に当たり、農民や町民には新田開発の免税・奨励策を打ち出した。借金棒引きと徴税強化に頼った他藩の「改革」との差は明白だった。

 ▼…似た策を現代に見出せば、鳥取県流「 ニューディール政策」だろうか。県職員の給与を向こう3年間平均5%カットし、年間33億円の余剰原資を雇用創出に充てるという。単なる緊急雇用対策ではなく、産業育成と結び付いた攻めの改革ならば、「痛み」を分かつ価値はある。

(18.Mar,2001 梶田博昭)