消費者の1票がマチを変える

 ▼…近所にあるホームセンターの荷捌きの騒音、排ガス、フォークリフトの歩道走行、ゴミの放置がこのところ目に余り、店長に改善を要請した。屋外の売場拡大が要因の一つで、競合する超大型店の進出が背景にあるらしい。「企業市民」「地域の社会貢献」の看板が泣いている、と訴えたが、やはり「売上第一」か。

 ▼…「企業市民」は80年代に登場し、今やまちに氾濫している。一方で景気の低迷によりスポーツ・文化振興などメセナ事業から手を引く企業も増え始めた。そして偽装商品の流通やリコール隠しなど「一流企業」の悪行が続き、市民の一員としての足元は揺らいできている。

 ▼…米国・CEP(経済優先順位研究所)の最高責任者アリス・T・マーリンさんは、企業の社会的責任についてこう語る。「一挙手一投足に責任を持たない企業は、その存在すら危うい時代にある」と。背景として、インターネットが象徴する情報化の進展と消費者意識の変革を挙げている。

 ▼…CEPは、環境保護や社会貢献度などを評価・格付け、情報公開し、モデル企業を顕彰する。消費者は、これらの情報を基に企業や商品を選別することで、優良企業をサポートする。購買行動は、より良い社会に変えていくための一種の「投票行動」でもあるのだ。裏返せば、企業市民は地域を変える潜在力を持っている。

 (7.May,2002 梶田博昭)