市長はカレーライスがお好き

 ▼…横浜でカレーライスを食べるには、競争率113倍の難関が待っている。と聞けば驚くでしょう。ただし、同席するのは、就任間もない中田宏市長。市民との直接対話の場としてランチミーティングを呼び掛けたところ、小学生から平均70歳のコーラスグループまで応募が殺到した。

 ▼…タレント的な人気もあろうが、37歳の青年市長に寄せる市民の期待感がうかがえる。そういえば、選挙中の公開討論会で「独自性を発揮できる分野」として現職市長が「防災対策」を挙げたのに対し、挑戦者は「情報公開」と答えていた。大地震は怖いが、市民は対策を講じる行政の基本的な在り方を重視したのだろう。

 ▼…今、元気のいい自治体に共通しているのは、首長が自分の言葉で語っていることだ。何が一番大切かを自覚しているから、住民にも国にもおべっかを使わないし、ときに文句もたれる。喜びだけでなく痛みや悩みの多くを住民と共有している首長は、無敵の強さを持っている。

 ▼…さて、問題はカレーライス。日本人はカレー粉の恩恵により、英国の王室料理を家庭料理として親しんできたが、一方で数十種とされるスパイスには少し鈍感なところがある。一つ一つの香りをかぎ分け、調合し、本物の「ハウスカレー」に育て上げる文化は、もしかしたらまちづくりの場で花開くのかも知れない。

(15Jul,2002 梶田博昭)