合併は千年前に予言されていた?!

 ▼…環境関連の研究会が開かれた静岡市のコンベンションホールの庭で、古代東海道の遺構に出会った。建設工事中に発見され、側溝も付いた幅12メートルの立派な幹線道路だ。約1千年前の公共事業だが、これを基点に碁盤の目状に区割りされた地域計画は、隣の清水市にもまたがる壮大なものであったことが分かる。

 ▼…その両市は今、合併に向けた準備を進めている。遺構は、「静清合併」の予言だったのかも知れない。律令時代の「条里制」は、税を確実に収納する方策であると同時に、土地開発と産業振興策でもあった。新市建設は、千年の時空を超えたまちづくり政策の競争とも言える。

 ▼…条里制自体は、中央国家による支配・管理の手法だが、戦国・群雄割拠の時代には崩壊した。その形が復活したのが、開拓史が置かれた札幌をはじめとした明治期の北海道。「官主導」の歴史と現実に重ね合わせると、整然とした「碁盤の目」は「中央統治」の象徴のように思えてくる。

 ▼…静岡からの帰り、東京都現代美術館で横尾忠則展をのぞいた。画家宣言後、精力的に描いている「 Y字路」シリーズが印象的だった。ライトに浮かぶ夜の三叉路は、後戻りの許されない「分かれ道」。甘い出会いさえ予感させる「四つ辻」とは異なった現実感が凄い。右か左か。明確な進路が問われている時代だけに。

(21.Oct,2002 梶田博昭)