南の国からも

 ▼…「DOいなか博」の話を紹介したら、「北海道は田舎力ですね。九州は過疎力で頑張ってます」とのお便りを電子メールで頂戴した。赤瀬川源平の「老人力」にならったそうだから「かそりき」と呼ぶのでしょう。特に宮崎県が力を注ぎ、互いに知恵を出し合う「過疎力発揮シンポジウム」が、各地で開かれているとか。

 ▼…人口約1600人の西米良(にしめら)村は、96%が山野に覆われている。高齢化率は30%を超えるが、過疎をプラス思考することで、平家落ち武者の「隠れ里」に光を当てた。年間20人前後の若者がU・Iターンし定住する効果さえ上げているというから「過疎力」は侮れない。

 ▼…過疎地ならではの魅力を生かした取り組みのうち、注目すべきは「ワーキング・ホリデー制度」。一般のグリーンツーリズムと異なり、花の出荷や柚子絞りなどの体験農業を役務として対価を支払う。参加者は3日間の汗と4日間安息の「晴耕雨読ライフ」を堪能する。報酬は宿泊施設などを通じて地域内を循環する。

 ▼…都会の若者や家族連れに田舎暮らしを手ほどきすることで、住民の「老人力」も冴える。「あんた、都会に帰すのは惜しいねえ」。ばあちゃんの言葉に「過疎力」の自信さえ見え始めた。「生涯現役宣言」の前に高齢化率などかすみ、増大する交流人口が村を活性化しているのだ。  

(18.Nov,2002 梶田博昭)