e-選挙もいいけれど…

 ▼…インターネットを使った選挙運動は米国などで定着しているが、日本でも解禁されそうだ。先ごろまとめられた総務省の「IT時代の選挙運動に関する研究会」の報告書は、支援者HPの開設、ネット上での有権者と候補者の直接対話の可能性にも踏み込んでいる。eデモクラシー時代は、もう間近ということか。

 ▼…電子投票制度の導入とともに、デジタル世代の若者らの政治参加を広げ、投票率を引き上げる効果が期待される。最近の選挙では、政党離れの一方で政策重視の傾向も見せており、候補者の情報発信力と、有権者のメディアリテラシー・選別眼も問われるようになってきた。

 ▼…来春の統一地方選は、まちの形・自治の在り方を問う、住民にとって最も身近な選挙となるはずだが、実際に生きた政策論争が展開されるかはやや疑問だ。現行の公選法で認められた選挙公報を見ても、町村では3分の2以上の選管が発行していない。短い選挙期間や費用面の問題が背景にあるという。

 ▼…しかし、短期決戦だからこそ、一覧比較できる選挙公報は貴重ではないか。箇条書きの政策が並ぶ「チラシ公報」ではなく、たっぷり紙幅を取った「選挙マガジン」もいいではないか。公報発行条例の制定に今から取り組めば、間に合う。どぶ板選挙で足りるなら、別だが。

(2.Dec,2002 梶田博昭)