新・関ヶ原とモノサシ兵法

 ▼…インターネット上で全国の自治体が独自の施策を競い合う「善政競争・平成の関ヶ原合戦」は、開戦から3か月余りで、180の自治体が名乗りを上げた。その半数を占めるのが、お膝元の岐阜県。岐阜市は、10億円の新年度予算枠を取って職員から「コンペ事業提案」を募集するなど、勝利に向けて鼻息が荒い。

 ▼…コンペでは、岐阜ゆかりの古典落語の祖・安楽庵策伝にちなんだ「笑いと感動のまちづくり事業」などが採択された。笑いの効用でまちを元気にするのが狙いで、全国学生落語選手権や「お笑い道場」を開く。観光都市だけに、ホスピタリティ向上運動にもつなげようというわけだ。

 ▼…ネット上で注目度(アクセス数)が高いのは岩手県。ベストテンに6件が入っている。その第1位が「環境計画」で、3位には新聞広告でも話題となった「がんばらない宣言」がランクされた。2位が北九州市の「黄海を囲む日中韓都市連携」で、町村のトップは福井県丸岡町の「電子町政」(約2200の施策中第40位)。

 ▼…下々に施す「善政」という言葉に引っかかっていたが、競争との対極にある「がんばらない宣言」に目が向けられているのが面白い。確かに、「新・関ヶ原」では、他者との優劣を決する「軍配」よりも、己の身の丈と理想を測る「モノサシ」こそが求められているように思う。

(14.Jan,2003 梶田博昭)