問題発見能力

 ▼…百畳敷きの「大凧揚げ」で知られる埼玉県庄和町。養蚕の里からベッドタウンへと大きく様変わりした江戸川べりを、自転車にまたがった役場職員の一団が行く。採用から3年未満の若手職員14人で結成した「まちづくり発見隊」。町内を巡回、住民の目線でまちづくりの課題や問題を見つけ出すのが狙いだ。

 ▼…地域の自律が問われる時代にあって、職員や住民の問題解決能力が求められている。しかし、それ以上に重要なのが、問題発見能力だ。手続やマニュアルに依存してきた者ほどこの能力が未開発のように思える。問題を見つけ出すことさえできれば、解決は案外とたやすいのだが…。

 ▼…札幌近郊の恵庭市では、ニュータウン計画を進めるうち「30年後も美しい街でいられるだろうか」という問題に気付いた。解決の道は「日本一の花のまちづくり」だった。20年経た今、ガーデニングの街として訪問者の目を楽しませるだけでなく、住民に活気と潤いをもたらした。

 ▼…こんな発見もあった「恵庭で採れたおいしい野菜を地元で食べられない」。「それなら、1年間畑を丸ごと買って、農家に作ってもらったら」。産直と違って消費者がリスクを負うが、収穫を実感できる。何より安全・安心に目が届く。問題の発見が、「野菜トラスト」という新しい生産と消費の関係を生み出した。

(27.Jan,2003 梶田博昭)