ルールよりもポリシー ▼…長野県茅野市では、戸籍など市民の個人情報を扱うネットワークのパソコン端末に、担当職員を指紋で認証するシステムを導入することになった。誰がいつ操作したかも、記録に残る。新年度予算の計上費用は約340万円。しかし、経費節減の折、そこまでやるか。IDとパスワードがあれば、足りるのではないか。 ▼…そんな疑問も沸いてくるが、個人情報は取り扱いを一歩誤れば、人権侵害は無論、とても高く付く場合もある。最近では、京都府宇治市が、住民基本台帳のデータ流出で、原告住民に計4万5千円の損害賠償を支払わねばならなくなった。えっ、「たいしたことない」って。 ▼…宇治市の場合は、原告が3人だったからこの額。19万人の全市民が提訴すると、最高裁の確定判決に従って市は約28億円も賠償しなければならない。刑事上の責任は免れても、「委託先の業者が悪い」「やったのはアルバイト学生だ」といった言い逃れは通用しない。個人情報=プライバシーはかくも重たいのだ。 ▼…情報公開の一方で、個人情報をどう保護するか。民間、行政を問わず、セキュリティの要はハードよりもソフト。ルール以上に組織体のポリシーと個々のモラルが問われている。ところで、そこの貴方。パソコンのモニターにパスワードのメモを貼り付けてはいませんか? (3.Mar,2003 梶田博昭) |
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