ミサイル栽培地

 ▼…カーナビのお陰で、沖縄本島をさほど苦もなくレンタカーで回ることができた。その画面上では、ルートの片側に延々と「グレーゾーン」が続き、米軍基地が大きな存在であることを実感させられた。滞在中、米軍偵察機に北朝鮮戦闘機が迎撃態勢を取る事件が発生し、基地周辺は緊迫した雰囲気に包まれていた。

 ▼…グレーゾーンは島の約20%を占め、約3万人の地主に年間総額約850億円が軍用地料として支払われている。約2万7千戸ある農家の総所得を上回る規模で、軍用地料は確実に引き上げられている。このため最近は、低金利時代の「優良資産」として取引が活発化しているという。

 ▼…「ムネオ疑惑」でも取り沙汰された軍用地料は、基地交付金とともに沖縄の基地依存の一面を見せる。また、基地のウエートが高い自治体では、これらが自主財源の柱となっているケースもあり、合併論議が具体化しない背景にもなっていると聞いた。「生産力ゼロ」の土地を頼りにしているなら、やはり疑問が残る。

 ▼…琉球王国の歴史もまた被支配の歴史だったが、島の特性を生かした交易や産業の振興で生き抜いてきた。島津氏の圧制下では、黒砂糖の製法を導入し、おやつ代わりに茎を噛むだけだったサトウキビを換金作物に育て、経済を立て直した。ウチナンチュウの自立心よ、再び甦れ。

 (10.Mar,2003 梶田博昭)