行政手腕讃えて33%昇給!

 ▼…埼玉県志木市の「地方自治解放特区」構想が波紋を広げている。市長を廃止し、議員の中から選んだシティマネジャーが行政を執行する。首長と議会の機能を一元化することで、効率的で創造性の高い自治の推進が狙いのようだ。「市民はオーナー、私はまちの支配人」という穂坂邦夫市長の思いが込められている。

 ▼…シティマネジャー制度は、米国の中小都市に広く普及している。第1号は1908年、スタントン市に採用されたC・E・アッシュバーナなる人物。土木工学の専門家で、道路や水利施設の整備に腕を振るった。10年後には別の市にスカウトされ、産業振興や教育分野でも功績を残した。

 ▼…制度導入のきっかけは、市政が多数の委員会の指揮下に置かれ、都市問題の解決がいっこうに進まなかったためだった。そこで注目したのが企業の組織原理で、株主(市民)の代表だが経営は素人の取締役会(議会)がプロに社長業(行政の管理運営)を託すという発想だった。

 ▼…米国ではそんな行政の専門家が協会に多数登録され、人材養成も盛んだ。地方自治は本来、解放されているのが普通なのだから、米国流や志木方式を基に、自由に自治の形を考えることも必要ではないか。ちなみに、アッシュバーナは、税金をうまく使ったことを理由に33%昇給した、という記録も残っている。

(14.Jul,2003 梶田博昭)