ああ言えば、Do. You?!

 ▼…増田寛也・岩手県知事はじめ改革派知事らによる「地方分権研究会」が、高校生を対象にした「日本のリーダー養成塾」の開設を目指している。プログラムの柱はこの3つ。自分の考えを持ち国際的なバランス感覚を磨く、ディベートの素養と技術の習得、自己表現力・コミュニケーション能力の習得。

 ▼…いずれも現在の学校教育に欠けたテーマにほかならない。国際感覚のベースとなる歴史認識などは、むしろ教育が避けてきた面さえある。したがって、上から下への「教鞭型」ではなく、生徒自身が考えをぶつけ合い、理論を組み立てる「討論型」の塾が展開されることになりそうだ。

 ▼…直接的な物言いを避け、和を持って尊しとなす日本型の思考から、ディベートは理屈屋の書生論と敬遠されがちだった。「朝まで生テレビ」は、持論を譲らぬ口論をそれと印象付けた。しかし、対立する考えを検証し合いながら、より高い次元の解決策を生み出すのが本来のディベートの姿なのではないか。

 ▼…だから、旧来の価値観や制度が揺らいでいる時代にこそ、ディベートは羅針盤の役割を果たす。異論や反論、少数意見にまず耳を貸すことが大切だ。国際ディベート学会の松本道弘会長は言う。「優れたディベーターは情感豊かな聞き上手であることが条件だ」と。

(25.Aug,2003 梶田博昭)