ブッシュにも見せたい「おしん」 ▼…銃撃と復興の動きが交錯するイラクで、NHKの連続テレビ小説「おしん」の放映が始まった。日本だけでなく、世界59か国で大人気を博した感動ドラマ。イスラム教のラマダン(断食月)に合わせて、ゴールデンタイムに流されていることもあり、視聴率の急上昇が期待されている。 ▼…放映に至るまでは、著作権やビデオ製作費などの問題があったが、さまざまな人が奔走し、日本のイラク復興支援事業の一環として実現した。苦難を乗り越えながら激動の時代を生き抜いた「おしん」の姿を通じて、戦後復興に取り組むイラク国民を励まし、日本の文化理解にもつなげようという狙いだ。 ▼…実現に汗を流した一人・在英国大使館の奥克彦参事官は「私たちが街を歩く度に『おしん、おしん』と声がかかる日が、近い将来やってくるのでは」と伝えていた。しかし、その奥参事官が、派遣先のイラクで襲撃され、同僚とともに殺害されるというニュースが飛び込んで来た。 ▼…日本がイラク国民のために何ができるのか、国際平和のために何をしなければならないのか。「おしんは、必ずイラクの人々の共感を得ることができるはず」。力による抑圧が憎しみの連鎖を呼んでいる戦争とテロの現実に対し、奥さんの言葉が改めて重みを増す。「おしん」に、問題解決のヒントが隠されている。 (1.Dec,2003 梶田博昭) |
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