1億年後の知的生命体 ▼…北米大陸に棲む「銀色クモ」の話。全長20km以上の巣を張り、網にかかった種子を地中に貯め込む。自分たちの食糧としてではなく、ネズミを丸々と育てるための餌として。無論、これはクモの慈善運動でも恩返しでもない。そこはいってみれば、クモたちが支配する巨大食糧生産コンビナートなのだ。 ▼…想像するだに恐ろしい光景だが、幸か不幸か実際に私たちが目にすることはない。ネズミは、氷河期を経て地球上に残った最後の哺乳動物。なにしろ、今から1億年後の世界なのだから。豪州大陸が大移動してアラスカと衝突していることを考えれば、そう驚くことではないかも知れない。 ▼…未来生物をシミュレーションした「The Future is Wild」(ダイヤモンド社)の描く世界がリアルなのは、コンピュータ・グラフィックのせいだけでない。科学の知恵を総動員した「必然の結果」でもあるからだ。むしろ驚くべきは、進化の果てにおいても知的生命体の姿が見当たらないことではないだろうか。 ▼…しかし、これには異論があるかも知れない。銀色クモの脳は、弱肉強食と種の保存のために高度に発達していると。それこそが「究極の知性」だと。まあ、1億年後のことだから私にはどっちでもいいのだけれど、ホモサピエンスが何時どうして消えたか気になる方は、ご一読を。 (19.Jan,2003 梶田博昭) |
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