新市建設計画の誤算

 ▼…赤字予算という禁じ手をあえて使った沖縄県の平良市。国の指摘に応じて修正はしたが、カラ財源で歳入を膨らませての帳尻合わせ。台所の事情は、ほかもそう変わりがない。改革は名ばかりの地方交付税削減に、地方の小規模自治体からは恨み節が聞こえてくる。

 ▼…では、合併したマチはどうか。昨年4月に誕生した山梨県南アルプス市の場合は、新市建設計画で80億円と見込んだ2004年度の交付税は68億円止まり。国県から合わせて年間4億円余の特例交付金はあっても、貯金を取り崩し、管理職手当の大幅削減などでやり繰りするせざるを得ない状況に追い込まれている。

 ▼…新市計画が甘かった、というのは酷かも知れない。計画を立てた2002年には「三位一体」という言葉さえなかった。それに「改革」の2文字が付いて闊歩する今になっても、先が見通せないのだからなおさらのことだ。カラ財源が問題の先送りに過ぎないと同様に、地方分権もカラ念仏に過ぎないのか。

 ▼…2年前に5町が合併した香川県さぬき市では、アンケート調査で約60%の市民が合併効果に疑問を示した。もっと深刻なのは、住みたいと思う中学生が約20%しかいなかったことだ。大人が先を見通せないマチに、子どもたちが希望を見出せないのは当然のことかも知れないが―。

(23.Feb,2004 梶田博昭)