我がふるさとは緑なりしや ▼…本誌「自治体北南」を流し読みすると、新年度予算の編成に市町村が四苦八苦している様子が浮かび上がってくる。経費削減の柱は、人件費・補助金・建設費。職員の基本給最大10%カット(高知県本山町)、ボーナス27%カット(熊本県倉岳町)など時限措置で急場をしのごうとするケースも目に付く。 ▼…苦境の背景を森雅志・富山市長が、広報誌のエッセーで分かりやすく説いている。地方への財源移譲で歳入が5億円増える一方で、国庫補助金は10億、地方交付税は28億円の減収。国との関係で差し引き33億円のマイナスとなり、確かに「これではたまったものでない」。 ▼…森市長は、三位一体改革のひずみの一つとして、財源移譲のやり方を挙げる。移譲された所得譲与税は、人口比によって配分されるから、必然的に大都市圏に片寄ると。ここまでなら国と地方の対立をめぐる繰り言に終わりがちだが、市長は「故郷思いやり減税」創設という独自の改革案を提起する。 ▼…大都会の住民に限り故郷のマチに寄付をした場合、税額控除を認める。納税額が減る一方で、故郷が少し元気になるというわけだ。「地方発」の一つの知恵と評価したい。問題は、遠く離れてもそこに愛すべき故郷があるかどうか。都市と地方の対立構造を解く鍵もここにある。 (15.Mar,2004 梶田博昭) |
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