セコムしてますか?

 ▼…長者(高額納税者)番付が公示された。所得税額5億円以上が倍増とかで、我が国でも米国並み「マス・アッパークラス(大衆上流階級)」の本格登場を予感させる。本場では、新富裕層の増大に伴って、警備保障業界が稼ぎまくっていると聞く。要は、警察も頼りにならないから、生命・財産の防衛は「自己責任」でというわけだ。

 ▼…驚いたことに、昨年の番付で影のダントツ・トップはセコム役員だったという。住所氏名が公示されると犯罪者に狙われ、警備会社のメンツも立たなくなる〜と、延滞税覚悟で故意に申告を遅らせ、公示を回避したのだとか。予感は既に現実の話となりつつあるのだ。

 ▼…米国では、20年足らずの間に収容者が4倍に増え、まず刑務所ビジネスが活性化?さらに、犯罪者を閉じこめるコストもバカにならないと、善良な市民を閉じこめることにも目が向けられた。江戸八百八町さながらに、自身番(ガードマン)に守られ木戸の内側に暮らすコミュニティは約2万か所、約400万人にも上るという。

 ▼…マス・アッパー増加を景気回復の兆しであるかのように書いた新聞があるが、それはどうか。「稼ぎ」の平均値は上昇しても、中抜けで上と下に厚くなるのでは、泥棒も増えようというもの。泥棒に狙われない・セコムに頼るほどもない。この辺りが今不況にあえいでいる。

(17.May,2004 梶田博昭)