「PPK(ぴんぴんころり)の里」のヒミツ

 ▼…信州を旅しながら、学生時代の悪友の話を思い出した。御嶽(おんたけ)山の麓で育った彼によると、生きた蛇をそのまま米と一緒に釜で炊き、骨をスルリと抜いて食するのだという。ずうっとホラ話と思っていた。ところが、佐久市で三浦大助市長にこの話をしたところ「昔はよくいただきましたよ。蛇飯(へびめし)というんです」。

 ▼…驚くことに、食材は蛇にとどまらない。イナゴ、蜂の子は言うに及ばず、ざざ虫、カマキリ、カブトムシ、オケラ、タニシと並ぶ。年に一度市民が持ち寄り、伝統の味を楽しむ会もあるという。市長も会員の一人で、「ゲンゴロウの天ぷらは絶品。今度の会にいらっしゃい」と誘われた。

 ▼…その佐久市では12年前から、身近な生き物の生息調査が小学生らの手で続けられている。報告は地形図にメッシィングされ、4回の調査を通じて、暮らしを取り巻く環境の変化が徐々に浮き彫りにされてきた。カワセミの報告が増え、一時姿を消したかに見えたゲンゴロウが調査対象に新たに加えられた。

 ▼…国交・農水・環境の3省縦割りの生活排水対策を佐久市はいち早く一本化し、河川浄化に取り組んだ。その政策効果を子供たちの調査で目に見える形にし、環境教育や郷土見直しにもつなげた。健康長寿・PPK(ぴんぴんころり)の里のヒミツは、自然の恵みにあるのかも知れない。

(14.Jun,2004 梶田博昭)