縄文の祭り・平成の祭り

 ▼…高知県土佐山(とさやま)村。今年の夏祭り会場は、例年の倍以上という約1500人もが参加し、大きな盛り上がりを見せた。来年1月には、高知市などとの合併が予定される。「最後の村祭り」を思い出に刻もうと、村の出身者が全国から集まったためだ。フィナーレを飾った「ふるさと」の大合唱が、ちょっぴり切なくも聞こえた。

 ▼…合併が過疎に拍車をかけ、祭りも消え行くとすれば、やはり寂しい。だが、こんな例もある。厳島神社管弦祭を模して昭和初期から続く安芸高田市向原地区の「おかげさん」。合併を機に新たに誕生した住民の自治組織が、これまでのエリアを超えて祭りの輪を広げようとしてる。

 ▼…日本列島には大小合わせて6万以上の祭りがあるという。祭りの語源は諸説あるが、互いの心を調和させる「真釣り」、人と人をつなぎ合わせる「間連る」、この辺りが近いのではないか。実際、祭りを通じて人々は連帯感を深め、祭りの盛衰に地域の活力が反映される。

 ▼…岩手県藤沢町では、この夏29回目の野焼祭が開かれた。夕闇の中燃えさかる窯の炎は、縄文人のエネルギーと情念をしのばせる。そして、住民らの嬉しそうで、一生懸命で、無償で、生き生きとした姿。天才芸術家・岡本太郎は「ここには縄文人がいる。この町民の在り方がまさに縄文人だ」と表現したそのままに。

(16.Aug,2004 梶田博昭)