たまって困るマイレージ

 ▼…地場産材の利用拡大を目指して、京都府が「ウッドマイレージ認証制度」の導入を検討している。ウッドマイレージとは、木材の量と移送距離を掛け合わせたもので、マイレージが大きいほど輸送の際のCO2発生量が多い。つまりは、家を建てるなら、地球温暖化につながる外材よりも地場産材を―というわけだ。

 ▼…日本の木材自給率は、食料の40%よりさらに低い20%。外材の方が安いという理由に尽きるが、新築住宅1軒当たり平均約2・発生するCO2を半分から10分の1ほどまで減らせると聞けば、どうだろう。自然エネルギーも活用すれば、「日本一環境にやさしいマイホーム」の誕生だ。

 ▼…とはいえ、輸入品漬けの生活からなかなか抜け出せないのは、食料のことを考えればよく分かる。生鮮野菜は中国・韓国産、江戸前とされたすしネタには、南米やアフリカ産が混じる。この結果、日本人1人当たりのフードマイレージは、米国の約8倍にも達するという。

 ▼…「牛乳は国産だ」と胸を張っても、牛が食べる飼料の自給率は24%。これは輸送エネルギーだけでなく、畑に還元されるべき牛の排泄物の環境問題にもつながっている。牛乳1本の後ろに隠れている2本分の牛の「おしっこ」の存在を、消費者も少し考えて見たい。このままでは、困り者のマイレージがたまる一方だ。  

(23.Aug,2004 梶田博昭)