こんなハンガリーに金メダル

 ▼…千葉県市川市は、個人市民税の1%分の使途を納税者自身が決める「市民活動支援制度」の導入を検討している。NPOなどへの補助金として振り分けられる基金は、最大3億円と見込まれる。千葉光行市長は「納税者としての市民の自覚を高めると同時に、NPOなどの市民活動に対する理解を深めるのが狙い」という。

 ▼…同様の制度は、長野県や東京都足立区、埼玉県志木市でも導入が検討されている。これらのモデルとなったのが、96年制定のハンガリーの「1%法」で、所得税の申告の際に納税者が支援先のNPOを指定する。総額で100億円を超え、福祉・教育などの分野で活用されている。

 ▼…ハンガリーは、社会主義体制が崩壊した89年以降、新たな国造りに取り組んだ。地方自治改革も西欧の制度をならいつつ一気に進められ、自治体は広汎な権限と課税権を持っている。しかし、長引くインフレと高失業率が市民を悩ませ、国・地方ともに厳しい財政運営を強いられてきた。

 ▼…1%法はそんな苦境の中で編み出された智恵にほかならない。90年代初頭に急増したNPOは、公共サービスの一翼を担い、まちづくりのパートナーと位置付けられていった。市町村間の連携・補完による公共事業の効率化の取り組みも見られる。約半世紀に及ぶ自治の歴史を持つ日本だが、学ぶ点は多そうだ。

(13.Sep,2004 梶田博昭)