イチローの視点 ▼…大記録に挑むイチロー。1本1本の安打が、大リーガーたちの足跡にもう一度光を当てていく。ファンは、古き良き時代に思いを寄せ、改めてベースボールの魅力の虜となる。ところが、そんな功労者に対し、米国の専門家の間では厳しい評価も聞かれるというから驚く。 ▼…大リーグでは、打者の実力を計るモノサシとしてOPSと呼ばれる数字が使われる。出塁率と長打率を足したもので、大記録まであと8本と迫った時点でイチローは8割7分5厘。ゴジラの8割9分8厘とともに悪くはないが、なにせ14割5分のバリー・ボンズのような超人もいる。 ▼…最近では、2死2塁の場面でセーフティバントを狙ったイチローのプレーが物議を醸した。確かに、次打者にタイムリーが出る確率よりは、強打による得点の可能性が高い。データではそうなるが、彼は守備陣形を読んだ上で、1・3塁としてチャンスを広げる方こそ「フォー・ザ・チーム」と考えた(らしい)。 ▼…ここで注目したいのは、様々な情報(視点)があって初めて、プレーの評価やゲーム展開の機微、さらには選手個々が抱く「美学」へと興味と話題が広がることだ。日本球界のことはさて置き、見方を変えた世界は刺激的だし、物の価値も違ってくる。現にイチローは本場の野球観をひっくり返そうとしている。 (27.Sep,2004 梶田博昭) |
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